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塩素はアトピーに影響を及ぼす・・・?

塩素がアトピーに悪影響を及ぼす、ということが盲目的に掲載、拡散されているサイトをよく見かけます。実際、塩素って何でしょうか?よく漂白剤などに使われ、かつ混ぜると危険、塩素ガスを発するなどという危険な文句が並ぶのでそう感じてしまうのでしょう。

 

さて、皆さんが毎日欠かさず口にするものに食塩があります。食塩はナトリウム原子と塩素原子が一つづつくっついたものを言います。そうですね、分子で見れば食塩の半分は塩素なのです。日々様々な食事によって摂取されるので不足することはありませんが、実は人の体内には150gもの塩素が常に存在し、

①胃液の原料となったり、
②血液中でpHを一定に保つために使われていたり、
③白血球のなかで生産され、体内に侵入した敵を駆逐

したりしています。

 

なお、食塩の摂りすぎは高血圧の原因として知られていますが、実は塩素自体は過剰に摂取しても排出されるので害はなく、ナトリウムがそのような健康被害をもたらす要因となっています。塩素ってそれくらい平和な物質なのです。
 

しかしながら科学に明るい人なら、「いや、体内での塩素と漂白剤では塩素の作用が違う」とおっしゃると思います。確かにその通り。
 

大きく分けると、①と②の形は同じで③の形が違うのです。
①と②は塩素としてはおとなしい形です。③の形は非常にアクティブな形で、電子をどこからか奪って自分自身が安定したくて(①、②の状態です)たまらない状態です。
 

ハイターなどはまさに③に非常に近い状態で、それがものすごく濃い濃度で販売されています。さらに商品としての保存性を高めるためにアルカリ性にしてあるので、皮膚刺激性が強く、危険なものというのが一般的な認識です。
 

余談ですがキエルキンも③の形ですが、漂白剤とは異なり弱酸性にすることでさらに電子を奪う力を強くしたものです。なので塩素が入ってるかどうかわからないような薄い濃度でも効果があって、皮膚刺激性がないということを達成しているのです。
じつはキエルキンは形状的には白血球が持つものと全く同じです。体内で強力な殺菌成分を作っても、これが残留しては人体に影響が出ます。それが起きないように、作用後は無害な状態(①、②のような形)になるという、実によくできた生物の自己防衛システムなんですね。

これがキエルキンの安全性を論じる根拠にはなっているんですけども。

さて話を戻します。
 

塩素がアトピーに悪影響を及ぼすのであれば、まず体内に150gある塩素を疑わなければなりません。もしくは塩水を薄くしたものもアトピーには悪影響なはずです。飲食店の調理場の方なんかは汁物かかるたびにヒーヒー言わなきゃならない。そんなことは起きませんよね。
 

次に疑わなければならないのは①②の状態なのか③の状態なのか、ということ。料理や塩水などは①②の状態と言えます。
 

あとは水道水。浄水場では滅菌のために塩素を使っており、これは実は③の状態です。それがごく薄い濃度になったものが我々の蛇口から出てくるのです。逆に蛇口から出てくるときの最低塩素濃度も法律で決められており、0.1ppm(ppm=100万分の1量)を切ることはできません。
 

「アトピーに悪いから塩素を含む水道水を使うな」という内容がネット上ではたくさん見られます。しかしながらいずれも科学論文から引用などではなく、まことしやかな噂が流布しているレベルのものです。
 

それではこのような流れは何故生まれたか?ひとつは浄水器を売りたい人の常套句で、「水道水には塩素が含まれていて、それが体によくない、アトピーのような肌が傷んでいる人になんてもってのほか」という宣伝があったからです。
 

この内容を正確に述べるならば、「浄水場のように塩素がアルカリ性の状態で使用されることには問題があり、発ガン性物質であるトリハロメタンの生成が起こり得る」ということ。

この内容は日本を含む各国で問題視されています。そのリスクを取り除きたければ浄水器をつけなさい、という言いまわしが正確だと思います(またまた余談ですが、キエルキンを弱酸性にしているのはこのあたりの配慮でもあります)。
 

それが一人歩きして塩素あぶない!水道水あぶない!アトピー悪化する!となると、それはちょっと違うんじゃないかと研究する側としては思うわけです。
 

下記のリンク(小児科医さんのブログです)の中で紹介されていますが、「アトピーの患者に希釈次亜塩素酸浴をさせた場合に症状が緩和した」との論文が発表されております。こちらの先生はその論文のその後まで追跡して、消毒というものにそもそも否定的な立場であるにもかかわらず、「症状重めの患者さんに関してはオプションとしての使用はありだろう」と結論づけています。
 

だからと言って「みなさん、塩素でアトピーが治ります!どんどん使っていきましょう」などと私は言いたいわけじゃないんです。
 

塩素を使うとアトピーが悪化するという前提があるならば、治療目的の実験なんてそもそもされないでしょうし、この実験を行った後は、被験者は皆悪化するはずです。それこそ大問題となり、皆が知るようなニュースになっているはずですよね。
 

商売派生の情報が幾多のフィルターを通ることによって、本来の意図と違ったものになることがあります。たくさんの情報が溢れる中でそこに流されないよう、しっかりと精査する能力が必要です。

https://pediatric-allergy.com/2016/04/12/post-81/

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