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なぜノロウイルス対策は徹底できないのか その①

インフルエンザも収まる気配はありませんが、ノロも猛威をふるっております。食品製造に従事する人の義務で、様々な検査、健康チェック項目などありますが、そもそも少ないウイルス数で感染してしまうのがノロウイルス。少しの侵入も許さない、というのは実際相当難しいです。
例えば加工食品(熱を加えた食品)において許される一般細菌数はいくつだとおもいますか?
いやそもそも食品に菌なんていないでしょ?ましてや加熱食品になんて!と思っている方もいらっしゃいます。

なんと「1gあたり10万の菌はいてもよい」ということになっております。非加熱食品ならば100万いてもいいルールなんです。100gの生肉に1億の菌がいてもオッケーなわけです。

では一般細菌とはなんでしょうか?菌ときくとあまりいいイメージはないかもしれませんが、とりあえず人に対して病原性を示さない(病気を起こさない)菌のことをいいます。

なので一般生菌がどれだけいようが人が病気にならないものはならないので構わないのですが、一般細菌が多い=不衛生な環境である、もしくは病原細菌も多い可能性がある、ということで、指標として使われいるわけです。菌がいるなんて気持ち悪い!と思われるかもしれませんが、実際、食品から菌を取り除くのは非常に難しいです。薬剤によって人体に害があってはならないし、また食味を大きく損ねるわけにもいきません。

さて話を戻します。ノロウイルスはどれだけの数がいると発症するでしょうか。実は非常に少ない数で感染可能なのです。わずか10~100個で感染した、というデータもあります。

衛生状態の良い日本で「1gあたり10万個菌がいていいよ」というルールがあるのに、わずか10個のノロウイルスでも感染しちゃうわけです。これを防げ、というほうが大変ですよね。

ノロウイルスはそもそも食品原料にくっついているわけではありません(2枚貝は別です。その話はまた改めて)。そのほとんどは食品会社のスタッフ経由で起こります。

厚生労働省ガイドライン『大量調理施設衛生管理マニュアル』によると、調理従事者は1月に1回の検便義務があり、「必要に応じて10〜3月はノロウイルスの検査も含めること」とありました。2017年6月16日に改定が行われ、「調理従事者に月一回以上検査を受けさせるよう努めなさい」という「努力義務」に格上げされました。

しかしながらこのマニュアルに当てはまるのは表題にもありますように「大量調理施設」なわけです。

「大量調理施設」とは、「同一メニューを1回300食以上又は1日750食以上を提供する調理施設」とされています。

それ以下のところではどのような対応が行われているのでしょうか?「食品等事業者が実施すべき管理運営基準に関する指針(ガイドライン)」というものがありまして、その中に「保健所から検便を受けるべき旨の指示があったときには、食品取扱者に検便を受けさせること」とあります。
「大量調理施設」に当てはまらないところは定期的な検査も必須ではないわけです。

ちなみに学校給食の製造現場においては「月2回の検便検査」を必須としておりますが、この中にノロウイルスの検査をしなさい、という項目はありません。ノロウイルスに関しては「従事者が感染した場合、完全にウイルスが検出されなくなるまで控えさせる」となっております(本内容は「学校給食衛生管理の基準《平成9年4月1日付け文部省体育局長通知文体学第266号の別紙》別紙1 学校給食衛生管理基準《平成21年文部科学省告示第64号》」より抜粋した内容です(間違っている場合はご指摘いただければ幸いです)。

以上より、現時点で食品製造現場にて、調理従事者に対する「厳密なノロウイルス定期検査義務」はない、ということになります。

毎年これだけノロウイルスが騒がれるのになぜこれをマストにしないのだ、そういうご意見が出てくるかもしれません。それはしたくてもできない事情があるからなのです。


なぜなのかは次回に詳しくお伝えします。
 
 
 

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